私たちは新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験したことで、地域住民の健康保持増進を含む社会健康医学の役割の重要性を再認識しました。地域毎に医療資源の分布、人口密度や高齢化の状況、地理的条件が異なるため、地域住民の健康保持増進には、それぞれの地域固有の対策が必要となります。それぞれの地域で保健、医療、介護、産業、市民、行政が協力体制をつくるためには、予防医学、疫学、デ―タサイエンスなどの社会健康医学の専門知識を持った人材が必要不可欠です。しかしながら、我が国では社会健康医学の専門家を育成する教育機関が不足していました。
このような背景のもと、群馬大学は2024年4月に大学院パブリックヘルス学環を設置しました。パブリックヘルス学環は、研究科等連係課程実施基本組織として医学系研究科と保健学研究科の緊密な連携のもと編成され、研究科の組織の枠を越えた学位プログラムとして社会健康医学プログラム(修士課程)を管理運営しています。研究科等連係課程実施基本組織では、研究科横断的な広範囲で学際的な教育・研究の展開が可能となることから、本学のパブリックヘルス学環には、医学・公衆衛生学・疫学・医療政策学・保健学などの多分野を横断しながら、人々の健康課題に取り組む学問領域である社会健康医学を学修する環境が整っていると言えます。本学環では、社会健康医学を学ぶ意欲のある学生を求めています。本学環で社会健康医学を学んで、「より健康で持続可能な未来の創造」を目標として、社会貢献に挑戦してみませんか。なお、博士課程は、2026年4月設置に向けて準備中です。
さらに、本学環は、地域や国内外のパートナーと協力し、研究活動を通じて新たな知見を生み出し、地域社会のニーズに応じた実践的なソリューションを提供し、国内外を問わず、広く社会に貢献することを目指しています。そこで、本学の保健学研究科とともに群馬県、市町村、医療保険者と連携し、ヘルスビッグデータを活用した地域の健康施策の推進及びそれに貢献する人材育成を目的とした実践的保健学人材育成プロジェクトを開始しました。
群馬大学大学院パブリックヘルス学環は、学生、教職員、そして地域社会の皆さまと共に歩み、より健康で持続可能な未来を創造するための拠点として、今後も発展を続けてまいります。引き続きご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。